地方公共団体の内部統制評価報告書の公表状況調査【兵庫県編その1】

・今回から2回に分けて兵庫県を取り上げる。九州・沖縄地区からは、長崎空港、鹿児島空港、那覇(沖縄)空港、みやこ下地島(宮古島)空港からの直行便があるようだ。
§神戸空港:https://www.kairport.co.jp/

・兵庫県には29市ある。

・各地方公共団体のHPによると内部統制評価報告書を公表している市は神戸市、姫路市、尼崎市、西宮市、三田市があり、おそらく令和6年度の内部統制評価報告書を公表予定の芦屋市、伊丹市がある。

・また、川西市は、内部統制評価報告書は作成していないものの、「令和5年度から職員の事務処理ミスなどの事案について、適切に対応・公表することにより、市の説明責任を果たし、市民の市に対する信頼を高めるため、原則事務処理ミスなどの対応状況を全て公表します。」としている。
§指定都市:神戸市(人口約150万人)
§中核市:姫路市(人口約52万2千人)、尼崎市(人口約45万5千人)、西宮市(人口約48万4千人)
§その他の市:三田市(人口約10万6千人)、川西市(人口約15万人)、芦屋市(人口約9万3千人)、伊丹市(人口約19万6千人)

・その1では、神戸市、姫路市、尼崎市、西宮市を取り上げる。

1.神戸市

・代表社員は、監査法人勤務時代にクライアントの支店往査やプライベートで訪れたことがある。

・三宮・元町、六甲山・摩耶山、有馬温泉、神戸須磨シーワールド、神戸どうぶつ王国などがある。
§三宮・元町エリアガイド:https://www.feel-kobe.jp/area-guide/sannomiya-motomachi/
§六甲山・摩耶山エリアガイド:https://www.feel-kobe.jp/area-guide/rokko-maya/
§有馬温泉エリアガイド:https://www.feel-kobe.jp/area-guide/arima/
§神戸須磨シーワールド:https://www.kobesuma-seaworld.jp/
§神戸どうぶつ王国:https://www.kobe-oukoku.com/

・HPのトップには、「真に持続可能な社会を目指して」、「王子動物園が生まれかわります。広さは変わらず、もっと動物にやさしく」、「人口減少時代を生き抜くために」などが掲載されていた。
§神戸市役所:https://www.city.kobe.lg.jp/

・令和4年度の内部統制評価報告書であるが、評価結果として、「上記評価手続に基づく評価作業を実施した限り、「財務に関する事務」及び「⽂書管理に関する事務」のいずれについても評価対象期間中に重大な不備はありませんでしたので、評価基準日において有効に整備され、及び評価対象期間において有効に運用されていると判断しました。」としている。

・令和4年度内部統制報告書附属資料によると、全庁的な内部統制について、「重大な不備として把握するものはなかった。」としている。

・同資料によると、業務レベルの内部統制に関し、影響の大きさについて
影響度1:事務執行上のミス
影響度2:局室区内での共有が必要となる事案
影響度3:「記者資料提供」が必要となる重大な事案
影響度4:「記者会見等」が必要となる特に重大な事案
に分類している。

 以下に、影響度3以上の事案について、項目のみ記載する。なお、これらについて重大な不備に該当するかどうか、内部統制評価部局で判断し、結果的には重大な不備に該当する事案はないとしている。

(1)財務に関する事務に係る不備
・「令和5年はたちを祝う会」宛名印字エラー
・所得把握事務の遺漏による国⺠健康保険料賦課誤り

(2)文書管理に関する事務に係る不備
・小児の新型コロナワクチン3回目接種用接種券の送付時期の誤り
・業務委託先における個人情報が記載された⽂書の紛失
・児童扶養手当認定請求書類一式の紛失
・電子メールの誤送信による個人情報の漏えい
・保育所等入所関係書類の紛失
・身体障害者手帳の誤送付による個人情報の漏えい
・確認用住⺠票の誤交付による個人情報の漏えい
・障害者控除対象者認定書の誤送付による個人情報の漏えい

§神戸市市役所内部統制の取組:https://www.city.kobe.lg.jp/a79826/shise/kekaku/gyozaisekyoku/promote/naibutosei/index.html

2.姫路市

・代表社員は、監査法人勤務時代にクライアントの支店往査が終わった後やプライベートで訪れたことがある。

・姫路市は姫路駅からも見える姫路城、書寫山圓教寺、太陽公園などがある。
§姫路城:https://www.city.himeji.lg.jp/castle/index.html
§ 書寫山圓教寺:http://www.shosha.or.jp/
§太陽公園:https://www.taiyo-park.com/

・HPのトップ上部には、「重要なお知らせ(3件)」があり、その下には、インスタグラムの素敵な写真が3枚スライドショーとして掲載されていた。
§姫路市役所: https://www.city.himeji.lg.jp/

・令和5年度の内部統制評価報告書であるが、評価結果は以下のように記載されている。

 全庁的な内部統制については、内部統制の基本的要素である「統制環境」、「リスクの評価と対応」、「統制活動」、「情報と伝達」、「モニタリング」及び「ICTへの対応」について、評価項目に対応する制度等が適切に定められ、運用されていました。
 業務レベルの内部統制については、リスク評価シートにより識別されたリスク(1,025件)に対し、重大な不備と評価するものはありませんでした。
 本市の財務に関する事務に係る内部統制は、評価基準日において有効に整備されており、評価対象期間において有効に運用されているものと判断いたしました。

・なお、附属資料などが掲載されていないため、重大な不備以外の不備があったのかどうか、またそれらはどのように是正されたかについての詳細は不明である。
§姫路市市役所内部統制制度:https://www.city.himeji.lg.jp/shisei/0000018430.html

3. 尼崎市

・代表社員は、監査法人勤務時代にクライアントの往査で訪れたことがある。

・尼崎市は工業都市というイメージがある。なお再建された尼崎城がある。
§尼崎城:https://amagasaki-castle.jp/

・HPのトップ上部には、「救急車の適正(〇〇)利用(〇〇)にご協力を」、「庄下川 あまがさきの身近な自然写真展」、「尼崎市街地の写真」、「アマニスム 暮らしやすさの先にある住み心地尼崎ニ住ム。」がスライドショーとして掲載されていた。
§尼崎市役所: https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/

・令和5年度の内部統制評価報告書(対象:令和4年度事務事業)が公表されている。

・全国的なニュースにもなった、「USBメモリー紛失事案」があったことによるのか、総務省のガイドラインに示すような報告書の形態とは異なっている。

・報告書の「1 はじめに」において、『この度作成した本報告書については、令和 4 年度の事務事業を対象とし、基本方針で示す項目のうち、USB メモリー紛失事案と同様の事案を未然に防ぐことに注力することとし、同事案に関連する「情報セキュリティ」「契約事務」「アウトソーシング」に限定した内容としました。』としている。

・報告書の「3 令和4年度の取組について」では、令和4年度に発生した重大事案として、以下の4つの事案につき、「1.概要」、「2.主な原因」、「3.再発防止に向けた主な取組」、「4 報告書又は報告資料」の項目を記載している。
ア USBメモリー紛失事案
イ 公用スマートフォン紛失事案
ウ 生活保護受給者等に係る個人情報の取扱い(規定範囲を超えて閲覧可能な状態)
エ 市立小・中学校間の引き継ぎ文書の紛失

・その他に、「情報セキュリティ」、「契約事務」について、
ア リスク管理に向けた取組
イ リスク評価の考え方
ウ 業務に潜むリスクと当該リスクが顕在化したミス(令和 4 年度)
エ 令和4年度に発生した主なミス
オ リスクに対する主な予防策(令和 5 年度)
カ 本取組から見えた課題と対応

・「アウトソーシング」について
ア リスク管理に向けた取組
イ 委託評価シート
ウ 委託評価カルテ

を記載している。
§尼崎市内部統制:https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/shisei/si_torikumi/1030357/1030332.html

4.西宮市

・代表社員は、全国高校野球選手権大会観戦のため阪神甲子園球場を訪れたことがある。また子供のテーマパークとして有名なキッザニア甲子園などがある。
§阪神甲子園球場:https://hanshintigers.jp/ticket/stadium/koshien.html
§キッザニア甲子園:https://www.kidzania.jp/koshien/top

・HPのトップ上部には、西宮の四季の風景写真として、「-夏-甲山」、「-秋-船坂」、「-冬―北山山荘」、「-春―夙川」が紹介されていた。
§西宮市役所: https://www.nishi.or.jp/

・令和4年度の内部統制評価報告書であるが、評価結果として、「上記評価手続を実施した結果、本年度対象としたリスクから運用上の重大な不備(内部統制の不 備のうち、不適切な事項が実際に発生したことにより、結果的に、大きな経済的・社会的不利益を生じ させたもの)を把握したため、本市の財務に関する事務に係る内部統制は評価対象期間において有効 に運用されていないと判断いたしました。また、本年度評価対象外としたリスクに係る運用上の重大な不 備を把握したため、付随資料に追記情報として記載しました。」としている。

・付随資料の「3 業務レベルの内部統制に関する事項」の評価結果で、整備上の不備23件、運用上の不備47件を把握し、運用上の不備47件のうち、2件は重大な不備に該当したとしている。

・重大な不備は以下の通り。
①市営葬儀の附属設備使用料の誤徴収
 規則上、当該使用料は消費税込みであったが、さらに利用者から消費税相当分を付加した額で徴収していたもの。令和2年4月1日から令和5年3月31日までの使用料で、対象は約1,800件、約1,800万円の過徴収。

②備品の廃棄手続き漏れ
 障害福祉課において211件、取得当時の価格合計で約1,300万円の廃棄漏れ。その多くが、出先拠点における指定管理者等の外部団体が市へ承認又は報告を行うことなく備品を廃棄していたことによるもの。
§西宮市内部統制:https://www.nishi.or.jp/shisei/gyoseikeiei/naibutousei/naibutosei.html

以下、次号。

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