地方公共団体の内部統制評価報告書の公表状況調査【滋賀県編】

・今回は滋賀県を取り上げる。滋賀県は海なし県の一つであるが、琵琶湖がある。琵琶湖は古来より京阪神への水源であり水上交通の要衝でもあった。

・滋賀県には13市ある。

・各地方公共団体のHPによると現時点で内部統制評価報告書を公表している市は長浜市がある。その他、湖南市は令和元年度に「内部統制評価報告書」を公表し、その後は「湖南市事務処理ミス等の公表に関する要綱」により毎年度、事務処理ミス等の公表を行っている。

§その他の市:長浜市(人口約11万1千人)、湖南市(人口約5万4千人)

1.長浜市

・代表社員は、長浜市にはプライベートで数回訪れている。ガラス製品が有名な黒壁スクエア、琵琶湖に浮かぶ竹生島・宝厳寺などがある。
§黒壁スクエア:https://www.kurokabe.co.jp/
§竹生島・宝厳寺:https://www.chikubushima.jp/

・HPの中央には、「熱中症に注意しましょう 今年も暑い日が続きます」、「市有地を売却します」、「湖北の医療は新しいステージへ 湖北圏域の病院再編」などのスライドショーとなっていた。
§長浜市役所:https://www.city.nagahama.lg.jp/

・令和4年度の内部統制評価報告書において、内部統制の評価結果は以下の通りである。

 上記評価手続に従いガイドラインに規定する評価作業を実施した結果、評価対象期間中の運用上の重大な不備を把握しました。そのため、当該不備に係る財務事務については、内部統制は一部有効に運用されていないと判断しました。
 当該不備を除く財務事務に係る内部統制は、評価基準日において有効に整備され、評価対象期間において有効に運用されていると判断いたしました。

・附属資料に掲載されている運用上の重大な不備を以下に記載する。

【重大な不備と判断した事案】

概要と要因  執務室で保管する文書については、長浜市文書管理規程等に基づき一定期間を経過すると所定の文言箱に詰め替えて文書庫に移管することとなっているが、この手続きを行う際に、文言箱を速やかに文書庫に移管することを怠ったため、執務室内で他の廃棄文書箱と混ざり本来保管すべき文言が誤廃棄されてしまった。要因としては、移管手続きの遅れの他、廃棄作業の際の文言箱の中の再確認不足、移管及び廃棄作業時の指示及び管理の不備、職員の認識不足等が考えられる。
 誤廃棄した文言の内容について確認が必要な場合は、他課で保管する原本及びパソコン内で保管するデータで確認できるものの、この不適正な文書管理により11冊の簿冊が誤廃棄された。
改善策 ・保管場所の移管等のために文書を文書庫から一時的に文書箱等に移して管理する場合は、文言主任に申し出るとともに、誰がいつまでにどう処理する文言か文言箱等に明示し、かつ他の書類と混同しないよう適切な保管場所に保管する。
・文書管理マニュアル等に基づき、担当職員が責任をもって毎年5月末までに移管手続きを行うとともに、日頃から文書主任は係員に対し適切に文言管理がされるよう指示、確認を行う。
重大な不備と判断した理由  本件は、適正な移管作業が放置された結果の事案であり、組織としての管理に不備があった点、また、市民の財産である公文書の誤廃棄という信用失墜の程度の大きさ及文言管理に係る規定等の遵守違反など上記(1)重大な不備に係る判断基準(P19~20)の②、③、⑤、⑥、⑦と複数に該当しており総合的に判断した。(筆者注:上記(1)重大な不備に係る判断基準については記載省略)

§長浜市役所内部統制の取組: https://www.city.nagahama.lg.jp/0000000928.html

2.湖南市

・代表社員は、湖南市に足をおろしたことはないが、自動車で通過したことはある。

・HPのトップ上部には、「20th こころつなぐ未来につながる 湖南市市制施行20周年」、「湖南市市制20周年記念 未来へおくるコンサート 声楽アンサンブル」、「湖南市職員募集」などのスライドショーとなっていた。
§湖南市市役所:https://www.city.shiga-konan.lg.jp/

・湖南市が随時公表している「事務処理ミス等の公表」のうち、市民への影響が大きいと判断した令和5年度の個別公表事案の概要について以下に記載する。

・会計課窓口で徴収した市税等納付済通知書の紛失について(令和5年4月19日公表)

概要  令和5年 3 月 30 日閉庁後にその日の窓口預かり金を精算したところ納付済通知書と現金の差が 2,500 円あることが判明しました。このことにより、納付者及び納付種別がわからない徴収金が未処理となっています。
 当日の預かり金の記録により、2,500 円1件の市税等を徴収していることが確認できることから、窓口に残るべき「納付済通知書」を紛失または本人に返却したものと考えられます。

・消防団員報酬に係る所得税の源泉徴収誤りについて(令和5年10月19日公表)

概要  本年3月 31 日に記者発表した「消防団員報酬についての源泉徴収票の記 載誤りについて」のうち、年額報酬の課税上の取扱いについて税務署から指 摘を受け確認したところ、源泉所得税額の誤りが判明しました。
 消防団員の年額報酬が5万円を超えるものについては、その金額から5万 円を控除した金額を課税対象とする取扱いが国からの通達により示されてい ましたが、当該取扱いが平成 10 年に廃止されていることを認識できておら ず、年額5万円を超えるものについてはその全額に課税するべきところを、5 万円を控除した金額に対して源泉徴収を行っていたため、源泉所得税を追加 で徴収する必要が生じました。  
 また、3月 31 日の記者発表において、住民税に還付が生じる方もあるとし ていましたが、住民税額に修正はありません。

・水戸診療所における保険証等本人確認書類の誤返還(令和6年2月8日公表)

概要  令和6年2月6日午前、患者 A の受付時に保険証の提示を求め、保険証が入ったケースを預かった。ケースの中には保険証以外に福祉医療受給券・ マイナンバーカード・診察券が入っていた。同時間帯に受診した患者 B からも保険証・福祉医療受給券・診察券を預かった。患者 B の診察が先に終わり、 会計時に預かっていた保険証等を返却した。その後患者 A の診察が終わり 保険証等を返却しようとした時に、預かっていた患者 A のケースがないことに 気づき、先に帰った患者 B に電話で確認したところ、患者 A の保険証等が入 ったケースを渡していたことが判明した。

§湖南市事務ミス等の公表:https://www.city.shiga-konan.lg.jp/soshiki/sogo_seisaku/jinji/3/3/3594.html

以下、次号。

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